Ep.217
2004年アテネ五輪の日本選手の活躍といえば、女子レスリングのメダルラッシュ(Ep.215参照)であるが、”体操ニッポン”の復活もまた、エポックメイキングなできごとだった。
男子体操団体で金メダルを獲得したのだ。
エース、塚原直也
次代のエース、冨田洋之
見た目も佇まいもクールな主将、米田功
後に(2024年パリ五輪の)日本代表男子監督となる、水鳥寿思
最年少の、中野大輔
の6人による快挙だった。
当時大学生だった私は水戸のマンションの一室で夜中、これのテレビ中継を観ていた。
日本が金メダルを獲りそうだということで、急遽中継が体操に切り替わったのだ(地上波にて。元々何が放送されていたかは忘れた)。
最終種目の鉄棒。最終演者は冨田選手。中盤の離れ技を難なくこなし、いよいよ「最後の離れ技からの着地」に入るとき、あの有名な実況が入った。
「伸身(しんしん)の新月面(しんげつめん)が描く放物線は、”栄光への架け橋”だっ!」
これはNHKの同五輪のテーマソング、ゆずの「栄光の架橋」にかけて、実況のNHKの刈屋富士雄アナウンサーが発したものだった。
TV中継ではこの実況「〜架け橋だっ!」が発された次の瞬間に冨田選手が鉄棒から手を離し、宙でクルクル回転した後、「ドスっ!」と脚が地に突き刺さる着地が決まった。
このシーンを観ていた私は、文字通り鳥肌が立った。冨田選手の着地は凄まじかった。
私がそれまで見てきた着地というのは、着地後に一歩前に出てしまったり、着地後にバランスが崩れるのをこらえたりするものだったからだ。
このときの冨田選手は、着地後ピタリと動かない。それだけでなく、”そうなることが当然”だったかのような運命性・必然性とすらいえるものをこの着地に感じた。
ところでこの実況だが、私は好きではない。あまりにも「狙った」感があったから。
それが元々用意していたセリフでなく、同状況下で「自ずと降ってきた言葉」であったとしても。
そして「栄光の架橋」という歌自体も好きではない。歌詞が何というか説明くさいし、曲のテンポの遅さが「くどさ」を助長している。(ゆずが嫌いなわけではない。念のため)
私はやはり、
「大ジャンプだ原田ーーーーーーーーーっっっっ!!」(98年長野冬季五輪でのスキージャンプ団体での実況)
の方が(絶叫系の方が)好きだなぁ。
さて、2024年パリ五輪の体操競技。
三重県から、いずれも津市出身で出場した選手がいる。
杉野正尭選手と岡村真選手である。
<津市出身の2024年パリ五輪選手1:杉野正尭>
杉野正尭(たかあき)選手は、津市出身→福井・鯖江高校→鹿屋体育大→徳洲会(アテネ五輪金メンバーの米田功氏が監督)。
24年5月のNHK杯(事実上のパリ五輪体操日本代表の最終選考会)にて、5位(個人総合)に終わったものの、あん馬と鉄棒の高得点が評価されて代表入り。
そしてパリ五輪、男子団体にて。周知の通り金メダルを獲得! (橋本大輝・岡慎之助・萱和磨・谷川航選手とともに)
最大の得意種目であるあん馬ではチーム最高得点を叩き出し、鉄棒では大逆転の流れを作った。
余談だが橋本、萱、谷川の3選手(と水鳥監督)は、Ep.86で書いた四日市市総合体育館の開館記念「体操ドリームチーム四日市市エキシビジョン」に来ていた選手たちである。
杉野選手は種目別も出場し、あん馬で6位、鉄棒で7位という結果を残した。
競技後、家族への感謝の気持ちを述べた杉野選手。
杉野家の絆と同選手の五輪への覚悟を追った朝日新聞(2024/07/29)の記事は読み応えがあった。
<津市出身の2024年パリ五輪選手2:岡村真>
岡村真(まな)選手も津市出身→暁高校(四日市市)→四日市大学(Ep.193参照)かつ相好体操クラブ(Ep.86参照)所属。
得意種目は平均台で、近年は国際大会で金メダルも獲得。24年5月のNHK杯で3位となり、初の五輪代表を決めた19歳。
高校からは四日市に移り、卒業後も体操の強豪大学には進まずに四日市大学へ。
その理由は、三重県で体操教室を展開する、かつ国内トップ選手も所属する(彼らが子どもたちのコーチでもある)社会人クラブ、「相好(そうごう)体操クラブ」を拠点に練習しているためだ。
パリ五輪、女子団体では4人のメンバーの一人として、段違い平行棒、平均台、ゆかに出場。
チームを8位に導いた。
津から世界に羽ばたいた杉野選手と岡村選手。
レスリングの藤波朱理選手(Ep.215参照)、陸上短距離の上山紘輝選手と川端魁人選手(Ep.216参照)。
バレーボールの西田有志選手(Ep.136参照)、卓球の戸上隼輔選手(Ep.148参照)。
彼ら以外にも、パリ五輪2024に出場した三重県出身の選手たち(12名)。
今後の活躍を応援したい。
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津 Tsu, How beautiful this city is! “Gymnastics Stars”, Sugimoto Takaaki & Okamura Mana
Ep.217
Two “Gymnastics Stars” from Tsu city, Sugimoto Takaaki and Okamura Mana participated Paris Olympic games 2024.
Sugimoto contributed to the Gold Medal in Men’s Team All-Around and Okamura did 8th place in Women’s Team All-Around!
https://www.chunichi.co.jp/article/900847?rct=mie
https://www.chunichi.co.jp/article/938464?rct=mie
https://www.chunichi.co.jp/article/937605
https://www.asahi.com/articles/ASS7W42PCS7WUTQP01PM.html
https://www.chunichi.co.jp/article/932642?rct=mie
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20240524/3070012916.html
https://www.you-yokkaichi.com/2024/05/18/32482/
http://www.sohgoh.info/taisou-hp1/#2
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E9%87%8E%E6%AD%A3%E5%B0%AD
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E6%9D%91%E7%9C%9F